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日本で遺言を有効に残すために知っておきたい8つのこと

2020.3.12 国際相続

弊事務所では、海外に資産を有する方の国際遺言を取り扱っていますが、今回は、国内案件のうち、よくご相談頂く遺言の書き方について情報提供させて頂きます。

有効に遺言を残すために知っておきたい8つのこと

①    紙に手書きで書く
・遺言として法的に有効にするためには、紙を用意してそれに手書き(自書、じしょ)をすることが必要です。
・パソコンのワードファイルで丁寧に遺言を書いて、データとして保存していても、有効な遺言とは認められません。最近の法改正で、添付する財産目録に限ってはパソコンで作成することが認められましたが、本文については変わらず自書が必要となります。
・紙は何を使っても大丈夫です。サイズ、枚数についても制限はありません。最近流行り?のエンディングノートを使ってもいいですが、エンディングノートそれ自体に何か特別な法的な効果があるわけではないのでご注意ください。
・遺言の内容を録音しても、遺言としては成立していません。遺言の内容を本人がしゃべっている様子をビデオ撮影してもだめです。ただ、これは遺言が不当な圧力で書かれたといった争いが出た時の本人の真意を立証する一助にはなりそうです。

②    日付、名前を書く
・2020年3月吉日と書く方がおられますが、遺言の日が特定できないため無効になってしまいます。日にちまで具体的に書くようにしてください。
・名前についても、戸籍上の名前を記載するようにしてください。通称だと遺言者が特定できないとして無効になるおそれがあります。
 
③    「相続させる」旨の文言に注意
・遺言に「土地を〇〇に相続させる」と書いた場合、それが必ずしも〇〇に、法定相続分を超えて遺産として承継させると解釈してもらえるわけではありません。複数の遺産があるうちの、遺産分割の方法を指示しただけ(〇〇が遺産を多くもらえるわけではない)と解釈されるおそれがあります。遺言の文言については、弁護士にアドバイスをもらった上で作成されることをお勧めします。

④    押印する
・認印で大丈夫です。印鑑証明書は不要です。
・印鑑がなければ指印でも可ですが、欧米式のサインでは不十分で遺言としては無効になってしまいます。

⑤    認知症ではないこと
・認知症になってからの遺言は、遺言能力を欠いているとして後に無効とされるリスクがあります。どのくらいの認知症だと無効になるリスクがあるかは、個別具体的事情により異なりますので弁護士にお問い合わせください。

⑥    1通につき1人の遺言にすること
・夫婦仲のいい余り、遺言も一緒といって1通の遺言書に夫婦2人の遺言をまとめて書くと、有効な遺言として認められません。

⑦    検認前に開封しても大丈夫
・自筆の遺言を封筒に入れて保管されるケースがあると思いますが、民法上、遺言が封されていることは要件ではないので、遺言が入っている封筒を開封しても問題ありません。
・ただ、遺言が紛失しないよう、公正証書遺言にするのがお勧めです。公証人手数料も、5000万円の遺産で3万円程度とそこまで高くはありません。

⑧    遺留分侵害額請求があるので注意
・複数の相続人がいる場合に、遺言者が1人だけに多くの遺産を承継させようとしても、除け者にされた相続人は一定程度遺産をよこせと言える権利があります。これを遺留分侵害額請求(旧称:遺留分減殺請求)といいます。したがって、遺言で全て相続が片付く、というわけではないことをご認識ください。
・遺留分侵害額請求権はこのテーマだけで色々お話ができますので、またの機会に投稿しようと思います。

 以上、皆さまが遺言を作るときのご参考になれば幸いです。

 

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