東京・国際弁護士・英語対応の中村法律事務所

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コロナ禍のオンライン公証手続

2022.5.7 アメリカ不動産


皆さん、RONという言葉をご存じでしょうか。RONとは、コロナ禍においてアメリカで広まっているオンラインの公証手続(Remote Online Notarization)のことをいいます。

そもそも公証(Notarization)とは、公証人が、私文書の作成者の署名又は記名押印を証明をする手続をいいます。

 

日本では、全国各地に公証役場がありますが、公正証書遺言や協議離婚における公正証書作成等のためにその公証役場を訪れ、公証人(元裁判官等)に公証を行ってもらうのが通常です。ちなみにどこの公証役場であっても、公証の料金は同じです。

 

一方、アメリカでは、公証役場といった公的な施設があるわけではなく、資格を有する公証人(Notary officer)が各自業務を行っています。公証が必要な場合、公証人がいるオフィスに赴いて公証を行います。価格も公証人により異なります。日本にいながらアメリカ向けの文書について公証が必要になった場合は、東京の虎ノ門にあるアメリカ大使館の他、日本国内にあるアメリカ領事館にて公証を行うことができます(ちなみに公証の費用は$50)。

 

しかし、コロナ禍において、アメリカ大使館の業務は制約されているため、公証の予約はとりづらく1か月先になることもあります。そこで、現在注目されているのが、最初に述べたRONです。RONを利用することで、アメリカ大使館に行かなくても、オンラインで公証人と面談を行い、署名も行い、自宅にいながら公証手続を完了させることができます。

現在アメリカでは、過半数の州で公証人がRONを実施することが認められています。そのため、アメリカ向けの文書について公証が必要な場合は、ぜひRONを活用されることをお勧めします。特に、アメリカ不動産を購入後、プロベートを回避するため、TODD (Transfer On Death Deed)をされる方が増えております。このTODDの文書作成には公証が必要ですが、RONを活用することでスムーズな手続が可能になったと言えるでしょう。

ただし、公証人がRONを実施できるのと、RONにより公証された文書を受け付けるかは別であることに注意が必要です。例えば、カリフォルニア州では、現在RONを導入する法案(AB1093)が審議中のため、カリフォルニアの公証人はRONを実施していません。ただ、カリフォルニア州所在の不動産のTODDを、他州の公証人によるRONを行った場合、カリフォルニア州がそれを受け付けるかは不明とされています(カリフォルニアの公証人に確認済)。RONの導入状況はアメリカの州ごとに異なっており、現地の最新情報をアップデートする必要がありますので、アメリカ向けの文書の公証をご検討の方は、ぜひ弊所までご相談ください。